2021年7月17日土曜日

仕事に生活を与えてもらったが、俺自身は壊されてしまった

 

今日は主治医の元への週に一度の通院日だった。何だか酷く疲れていた。本やテレビは目を向けることもあるけれど、最後まで読んだり見たりする気力が無いことは伝わったと思う。病院に行き薬局で薬を受け取り、駅まで歩く道すがら陽は傾き夕暮れ時だった。仕事を終えた人々とたくさんすれ違う俺の足取りはいつも以上に重かった。

ふと仕事にはまだ戻れない、いやもしかしたらもう戻れないのか…、そんなことを考えた。考えさせるに十分な寂しい夕暮れ時だった。会社に入って仕事をすることでこれまで生活をしていくのに十分な給料をもらい、云わば生活を与えてもらったと思っている。だが、10年ぶりの二度目の休職で、俺自身は完膚なきまでに壊されてしまったこともまた事実だなと思った。

何か泣き笑いのような表情しか出来なくなっていて、持っていた文庫本をもう少しで読み終わりそうなこともあり、病院から駅までの帰り道にある喫茶店に寄って本を最後まで読み終えた。本は遠藤周作の「ただいま浪人」という本だった。20年以上前に買った本だが、今では多分絶版になっていて、活字も現代の小説本よりも小さい。おまけに770頁以上ある。おそらく、再版されるとしたら文字を大きくする都合上、上下巻に分かれるだろう。初めて読んだころ、俺はまだ受験生だったか浪人していた時か(浪人の時だったからこそ買った気もする)、もしくは大学生だったか…。だが20年経って内容は全く覚えておらず読み進めて行くと、些細なことだが、自分に関係あることが少し書いてあった。奇妙な縁だ。

 喫茶店での読書を終え、帰りの電車に体を滑り込ませる。何だか混雑している電車も息苦しさを感じた。ふと電車が大きく揺れて、俺は車内で一人無様に転んだ。足を踏んだ人やぶつかった周りの人に謝罪しつつ、どうしようもない情けなさを感じた。涙が出そうだったが泣けなかった。喉は何かが詰まったかのように感じ、いっそ何か刃物で突き刺してしまいたかった。 

おそらくこの病気に出口は無い。そしてネガティブでいる時間が精神面で健康な人に比べて長い以上、身体面についても何かしらの悪影響を与えるだろう。何もしなくてもあと20年くらいで俺の人生は終わりになるかもしれない。そんなに長生きは出来ないのではないか。そんな気がしている。人生を終わらせるなら、小説の人物のように周りの人との繋がりを泣く泣く断っておかないといけない気がするし、こんなことを考えている以上、病気が治る見込みも薄い気がした。

一度だけのうつ病の発症だったらもしかして、治ったかもしれない。しかし、何とかやり過ごしているうちに人生の半分近くがうつ病を患っていた年数になっている。俺の精神は歪み壊れ、もう元に戻ることは無いだろう。

2021年7月4日日曜日

休んで療養することが決まりお御籤は大凶を引いた -孤独のRunnaway-

 6/17(木)に産業医面談を受ける。産業医と課長、総務と僕の4者でのWEB面談だった。面談では会社の産業医には休職を命じる、ということは出来ない、もしくはしたくない、ということのようで、5月以降の窮状をいくら述べても、それは弱りましたねぇ、というばかりで暖簾に腕押しだった。

しかし、2日後の6/19(土)の診察で、色々とメモにして持っていった症状や困っていることを主治医に全部話し切らないうちに「もう仕事にならないでしょう?思い切って1か月休むように診断書を書くから。」と言われた。10年ぶりの二度目の休職である。10年前、休職が決まった時、僕は自死の危険有りとのことで、任意入院だが精神科の閉鎖病棟への入院が決まった。今回は病院は異なる。現在の主治医は復職してから10年にはならないがずっと診てくれている先生で、めったに休め、とは言わない。休職で患者が受ける働けない期間に受けるデメリットや仕事に戻れなくなることを考慮してのことだと思うが、初めて、全部言わなくていい、もう休んでいいから、と言われた気がする。 

翌週月曜の6/21(月)に在宅勤務でPCを立ち上げ、産業医と課長に向けてメールで状況を報告し、産業医と課長、総務とのWEB面談が決まった。午後からは今の業務を引き継ぐため、引継ぎ会を課長と1時間半程度行い、休みに入ることとなった。引き継ぐ相手が課長しか居ないというのが今のうちの課の窮状をよく表していると思う。僕が居なくなったら誰も引き継げる相手が居ないから課長が引き継ぎ相手なのだ。課長は「1か月で戻ってきてくれることを期待するよ。」と言っていた。この仕事が大変なのは年度末なので、そこで僕が居なかったらおそらく業務は回らないだろう。

6月に入って僕はよく聴いている曲があった。B’zの"孤独のRunnaway"という曲だ。「本当は誰もが愛人探しに出かけたがっている」 という歌詞が耳に残りやすいが、そこではなくてこの曲は何もかも嫌になって失踪してしまった者のことを歌っているのだ。折しも世間では某野球チームのコーチが失踪して世間を騒がせている頃だった。「俺もどこかに消えてしまいたいなぁ…。」なんて思いながらニュースを眺めていた記憶がある。

 

 

B'zの公式の動画はあまり無いので、6月にYoutube見つけて聴いていたアマチュアの方達のリモートセッションの動画を紹介。ボーカルの方の声質も稲葉さんによく似ているし、演奏も皆さん上手で素晴らしい。こんな陰気なブログに引用してしまって申し訳ない。この動画も何度も見て歌詞を口ずさんだなぁ。エレキギターを昔やっていたので、元気になったらこういう曲を弾いてみたい。

 

雨上がりの明け方 とっくにおまえは消えていた

電話もよこさないで

大好きだった女 飲み仲間 順調だった 仕事まで

何もかもほったらかし

何がいやだったの 金なの?マンネリなの?

今頃おまえはどこかで叫んでいる like this!

(中略)

いい迷惑だと みんながあきれ返った後

また普段の生活を続けている

何が大事だったの

出て行ったやつの口グセだけが目の裏で踊る like this!

 

今、仕事で苦しんでいる僕が消えても誰かが迷惑だなぁ、と言いながらきっと仕事は引き受けてくれる。僕がいなくなっても一時は大変かもしれないが長い目で見れば居ても居なくても同じようなものになっていくはずだと。

今回、潰れた理由は簡単だ。課の人的リソースが不足して、僕に課せられる仕事の案件がほど5月から増えた。うちの会社は昨年、合弁会社を興して、課員のうち何割かがそこに出向という形で勤務することとなった為、合弁会社の目的に沿わない意義の仕事は手放すことになった。よって、当時、一緒に仕事をしていた同僚はいなくなり、彼らの持っていた仕事を僕が引き継いだ。仕事上のラインとしては担当が僕で上長は課長ということになった。もともとうちの課は2つに大きく技術分野が分かれていて僕が入社以来、属しているAという分野のグループ、そしてもう一方はBという部の中でも花形のグループがある。入社した時はBグループを志望していたがAグループに配属になり、業務をこなしていく中でそれなりの充実感も感じるようにして15年以上、業務に従事してきた。またどこかでBグループからはAグループは技術的に劣っていると見下されて?いる面も分かってくるようになり、入社当時に抱いていた単純な憧れはとうに無くなっていた。分野が異なるので同じ案件でもAグループとBグループからそれぞれ人を出して対応している。だが、昨年度の人繰りの問題で僕が抱えている案件はずっとやってきたAグループの仕事とBグループの仕事を受け持つことになった。こういう状況ではあったが、昨年度は何とか関係者の人たちの協力もあり乗り切ることが出来た。

今抱えている案件は、いつも年度末に毎年結構な苦労をして成果を報告するためのまとめ作業が発生する。これらを何とか関係者分を含めて、マネージ仕切って乗り切れたが、ここで既に僕のガソリンは尽き掛けていた。5月に課長にちょっと精神的に行き詰っていることを産業医面談の場で話したが、課長と少し2人で話をしよう、と言われ、何故か合弁会社の方で受けきれない新規の案件(A、Bグループで別々にカウントするなら2件)にアサインされることになった。アサインされたばかりで、現実的な大変さはまだほぼ発生していなかったが、今後の業務計画を練りながら、これは今の僕には完遂することが出来ない、と内心、絶望していた。

この10年、産業医との面談がもう当人に問題が無いので卒業となったこともあったけれど、基本的にはずっと受けている。また、課長からは産業医面談を受けている人には悪いけど人事上の好評価は付けられない、と言われたこともある。なので、人事上のことはもう諦めてせめて自分が出来ることで会社の役に立とう、それ以外は(悔しいが諦めて)どうでもいいと思うことにしよう…そう思ってやってきた。また、10年前に休職していて元気が出てきた時に思っていたのは仕事で命を奪われるまで追い込まれるのは馬鹿馬鹿しいということだ。その後もぐるぐるとした希死念慮に苛まれる日々は数年前まで続いていたが、自分自身が中年と言われる年齢に差し掛かってきて精神的な負のエネルギーも落ち着いてきたのか、あまり希死念慮に悩まされることも無くなってきた。こう言ったことがあるので、10年ぶりに二度目の休職になってしまったのは個人的にすごく残念だし、職場に対して思うこともある。おそらく1ヶ月後にもし復職できたとしたら引き継いだ業務をすぐに100%こちらの手元に返されるだろう。活字も頭に入らないくらいに弱り切っていた6月下旬に比べると少し本も読めるようになってテレビも見られるようになってきたが、今の自分にはまた元の仕事量を振られるのが怖い。

余談だが、休みが決まった後にお御籤を何の気なしに引いてみた。結果は大凶。初めて引き当てたが、「やっぱりな」という気分の方が強くて思わず笑ってしまった。


お御籤に書いていることを文字にしておこう。

天の下 国原くらし み空ゆく

月の光は さやかなれども

ふして見れば山野は暗く。仰げば真如の月が照っている。

その接し会ったところに立っている自分を見失ってはならぬ。

此処で静かに思慮を深め目標に向って一歩を進めなさい。

○願望 急には思う様にはならぬ

○縁談 本人同士の意志の通じ方が足りぬ

○交際 親切だと思い込むといけない

○産児 丈夫な児が生まれる

○病気 回復がおくれる

○転居 やめた方がいい

○事業 人の口車に乗るな

○試験 目上の人の意見に従え

産児以外はいい項目が無いように思えるが、「○病気:回復が遅れる」が個人的には一番ぐさっと来た。